家族と自然にかこまれた少年時代の思い出がつづられます。
裏の山から ふくろうの子を
さらってきてしまった いけないかな
にぎりこぶしよりも ちっちゃなやつで
ポケットの中で つぶれてないかな
おふくろに聞けば おやじに見せろと
必ずそう言うだろう
犬の子6匹 かかえて帰った
あのときもそうだった
アブラ紙にくるんだ ピストルひろった
去年の夏だって
二階の座敷の 床の間のカブトに
とまらせてみたら とても似合う
西の窓から 夕日がさしこむ
山の影ものびて あくびしてる
あやじに見せれば 頭ごなしに
どやされるに決まってる
いつだってそうだ そんなのいやだよ
子犬は川に流したし
ピストルはだまって 取り上げたけど
あれからどうしたんだろう
晩ごはんの時に ふくろうの声
ホーホー ホーホー 非常事態
おやじの眉間の 気配が微妙
酒つぎながら二階へ アゴをしゃくる
ほっとためいき
階段の上から そっとのぞいて見ると
窓の外にふくろうの 親が
ホーホー ホーホー ……